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2024.04.26 (Fri)
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久しぶりにお宝ですvv
2010.10.06 (Wed)
宝物ですvv

・「六花-Ricca」の南ゆき様から素敵な小説いただき
ましたvv
おねだりして掻っ攫ったというのが一番近いかもしれ
ませんvv
三成⇔刑部小説ですvv

ー私に隠し事をするな、刑部…
           <左の涙より>


「続き」にてupしてますvv





左の涙

その業病を誰よりも悲観しているのは
彼自身なのだということくらいわかっていた。
だからこそ、三成はなおさら病など気にしなかった。

そもそも三成にとって彼は彼で
彼がいてくれるなら、病であろうと何であろうとどうでもよかった。

- 病が何だというのだ。

つまるところ、それが三成の本心だ。
それがたとえ業病であろうとも。
病が彼を損なったことなど、一度もない。
少なくとも、三成にとっての彼を損なったことなど。

大谷吉継は、三成にとって兄に等しい。
天才軍師、竹中半兵衛に拾われた三成は
彼とその主である秀吉に育てられた。
彼らは親代わりではあったけれども
三成にとっては常に崇敬の対象で
どこか畏れ多い気持ちを拭いきれなかったのは仕方ないことだったろう。

そんな三成にとって、本当に肉親とも言えるのが大谷吉継、
今では刑部と呼ばれる彼である。
自分がまだ幼かったころ、今のように包帯で顔を隠すようになる前の刑部を
三成はよく思い出す。

- 佐吉。

幼名を呼んで、
木の下から微笑みかけてくれた彼の笑顔は慈愛に満ちていて
けれど生来の性質である憂いを帯びた表情は
幼心にもはっとするほどだった。

- 何を拗ねておる。

- 半兵衛さまと秀吉さまが佐吉は向こうに行っておいでと
  おっしゃったのだ。

三成はこの頃からすでに、刑部にだけは不遜な口を利いていた。

- お二人には大切な話があるのだ。ぬしにもそれくらいわかろう。

- 吉継は私を莫迦にするか!

木に登っているのを忘れて牙を向き、
思わずバランスを崩した三成を
それみたことかと呆れながら
けれどしっかり受け止めてくれたのは刑部で。

恥ずかしさに礼も言わず俯いていると
刑部はくっく、と笑みを漏らした。

- お二人がぬしを呼んでおられる。機嫌を直せ。

- 半兵衛さまと秀吉さまが…?

- 左様。

- 先にそれを言え!吉継!下ろせ!

早く行かねば、そう言ってもがく自分を
宝物でも扱うように丁寧な手つきで地に下ろすと
刑部はまだ佐吉であった三成の頭の上に手を置いた。
その手はどこまでも優しくて。
その手こそが三成に肉親の情を教えたと言っても過言ではない。

- 慌てて転ばぬようにな。

余計な御世話だ、そう言おうとして見上げた刑部の顔は。
自分が何と言って刑部に噛みついたか
刑部が自分にどんな言葉をかけたか
その手がどれほど温かかったか、こんなにも鮮明に覚えているというのに。
そのときの刑部の表情だけが、もう思い出せない。

それは刑部が病を得て、
包帯で顔を隠し彼の素顔を見ることがなくなったせいなのか
それとも彼の病を気にしないという
三成の毅然とした心が
かつての彼を偲ばせる記憶を薄れさせているのか。

何であれ、
と三成は刑部の室へ向かいながら己の本心を確かめる。

- 刑部がいてくれれば 私は大丈夫だ。

何が大丈夫なのかはわからない。
大丈夫だ、そう言い聞かせている時点で
では何が不安なのだと自問せざるを得ないのだが。

「刑部!私だ、入るぞ」

一声かけただけで、返事を確かめずに襖を開けて
三成ははっとした。
刑部が、顔の包帯を取っている。

「…三成!」

刑部はまさかこの時刻に三成が来ると思っていなかったのだろう、
明らかに狼狽した様子で顔を背けた。
三成が絶句しているのを
己の醜さ故と勘違いしたらしい刑部は

「…見るな…」

低く、そう呟いた。
彼の苦悶に満ちた声に我に返った三成は
刑部、と呼び掛けながら近づこうとしたの、だが。

「我を見るな!三成!!!」

聞いたこともない大きな声に驚いて足を止めた。
そのあまりに切羽詰まった調子に
三成は一瞬、それが刑部の声だとわからなかった。

「刑部…」

ならぬ、見るな、錯乱したかのように繰り言を重ね
両手で自らの顔を隠しながら刑部は
部屋の隅、陰の方に隠れようと後ずさった。

「刑部…っ!」

三成は迷いなどしなかった。
ものの数歩で刑部の元へ近付き、
部屋の明かりから逃れるように蹲る刑部の両手を捉える。

「な、何をする…三成」

怯えきった刑部はいつもの彼からは程遠く。
三成は初めて、彼の本心を覗いた気がした。
知ってはいたけれどこれまでは決して触れることのできなかった、彼の心を。

その顔の変化を、人は醜いというのだろう。
なんとおぞましい、これぞ業病よ、と。
刑部の顔は右半分がただれていた。
皮膚が赤黒く変色し、ところどころ剥がれ落ちているせいで
眼の周囲などは筋が覗いている。
けれど左半分は見覚えのある刑部の顔そのもので。

病に侵され能面のような右半分と
明らかな恐怖に彩られたその左半分がひどく対照的だった。
真正面から見据えられ
三成の視線から逃れるのを諦めたらしい刑部は
唇を震わせながらもかろうじて笑ってみせた。

「恐ろしいであろ、醜いであろ…満足か」

もうよかろう、離せ、と顔を背ける刑部の頬を。

「…三成!ならぬ、触っては」


ぬしにも病が、それだけはならぬ、
必死に抵抗する刑部の頬を
三成は両手で捉えるとそっと額を合わせた。

「私に隠し事をするな、刑部…」

「…」

「貴様の病を謗るような輩と私が一緒だとでも?莫迦にするな」

たとえ目に映る面にどんな差異があろうと
両手から伝わってくる温度に左右差などあるはずもなく。

「ぬ、ぬしは恐ろしゅうはないのか」

これほどに醜悪な容貌をもたらす病が。
こんな宿業に見舞われた自分が。
刑部の問いを、三成は微笑んで一蹴した。

「私が最も恐ろしいのは貴様を失うことだ」

刑部がいてくれるなら病であろうとなかろうと。
むしろその病が貴様の命までも奪うものではなかったことに感謝したいくらいだぞ、
嘘偽りない三成の本心を聞いて。

刑部は。

「…っ」

右の眼からは、もう涙も出ない。
けれど、左の眼は。
隠しきれない本心を映す、たった一つの鏡からは。
お湯のような涙が一筋流れ出て。

それは三成が初めて見た刑部の涙だった。


<終>








・萌えすぎました!滾りましたvvどきどきvv
三成と刑部といえばお決まりな台詞とは思うのですが
私も今描いてる漫画に一字一句まったく同じ台詞が
入っててどきどきしましたvv
「刑部、私に隠し事をするな」
・・・。
この台詞は三成の独占欲と執着心の表れぽいので好きですvv
病気うつすことが一番恐れてること・・という刑部
といい・・なんてシンクロvvと思いつつvv
最後の涙のシーンが凄く好きですvv
とても綺麗でそして残酷な現実も入ってる感じが。照。
こういう雰囲気がだせるような作品作りたい!!
と思う私ですが、力不足でちょっと泣きそうです。泣
ゆきさん素敵な作品ありがとうございましたvv
とても大切に飾らせていただきますvv

「六花-Ricca」にはリンクから飛ぶことができますvv
素敵な家三と親就のお話で幸せになれますvv笑。
ゆきさん本当にありがとうございましたvv

















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